徳島県の山間にある上勝町。四国で最も人口が少なく、高齢化の進んだこの町は、希望という言葉とは無縁の典型的な過疎地だった。しかし、あるとき奇跡が起こる。ひとりの農協職員が、山で採れる葉っぱを料理の<つまもの>として販売することを発案。70代、80代の女性たちを主戦力に事業を起こした結果、年商2億円以上を稼ぎだすビッグビジネスに成長。町はうるおいを取り戻し、人口増加を記録するまでに変貌を遂げたのだ。

本作は、その実話から生まれた物語。つまものビジネスの立ち上げに関わった女性たちが、自分を変え、町を蘇らせ、生きる喜びを未来につなげていく姿を、オール上勝町ロケで描いた心温まる感動作だ。

主人公は、上勝町で生まれ育った3人の女性たち。ミカン農家に嫁いで以来、夫に従って黙々と働いてきた薫。都会で暮らす息子一家に冷たくあしらわれ、老いと孤独を意識するようになった未亡人の花恵。自分を偽って生きてきたせいで、本当にやりたかったことを見失ってしまった路子。3人は、いずれも長い人生の中で一度も主役になったことがない女性たちだ。そんな彼女たちが、料理の脇役であるつまものの仕事を通じて、自分が主役になる新しい人生を獲得していく。薫は夫に依存しない生き方にめざめ、花恵は孫の尊敬と新しい恋を勝ち取り、路子は仕事のやり甲斐と亡き父との失われた絆を取り戻す。そのいきいきと輝き出す姿を捉えたドラマは、何歳になっても夢は見られるし、何を始めるにも遅すぎることはないと優しく語りかけてくる。さらに、夫婦と親子の情愛、年輪を重ねた女性同士の友情、そしてコミュニティの絆をみつめた物語には、世代や性別に関わりなく、誰もが共感を覚えずにいられないだろう。

キャストには、日本を代表する実力派の俳優が顔を揃えた。主人公薫に、吉行和子。薫の親友の花恵には、富司純子。久々に上勝町に戻って来る路子には、中尾ミエ。ミカン農家を営む薫の夫・輝雄には、藤竜也。また、つまものビジネスを発案する農協職員の江田には平岡祐太、市場の美人仲買人・裕香に村川絵梨が扮し、さわやかな魅力を光らせている。

心の琴線に何重にも触れる脚本は、本作のプロデューサーでもある西口典子が執筆。監督は、柴咲コウ、真木よう子、寺島しのぶを主演に迎えた新作『すーちゃん まいちゃん さわ子さん』でも注目を集める御法川修が務めた。さらに、映画のラストを彩る主題歌「ヘヴン」を、サザンオールスターズの原由子がソロで担当していることも、本作をめぐる大きな話題のひとつだ。